おはようございます。
今回は、DTMを始めたばかりの方や、Ableton Liveを便利に使いこなしたいと感じている方に向けて、純正プラグイン「Utility」の便利な使い方を紹介します。
Utilityは見た目も機能もレガシーな感じ(Ableton自体がレガシーデザインっぽくて好きですが)。でも、だからこそすごく頼れる。僕自身、制作時にほぼ全てのトラックに入れているくらい欠かせない存在です。
ちょっとしたときに便利だなぁと思うことが多いです。他のDAWでも似たような機能を持つものがあると思うので、Ableton Live以外の方もちらりと見ていってください。それではいきましょう!
目次
1. Utilityとは?
Ableton Liveに標準で搭載されているオーディオプロセッサーです。
主な機能は以下の通り:
- モノラル化(Mono)
- 音量調整(Gain)
- ステレオ幅の調整(Width)
- パンニング(Pan)
- ミュート(Mute)
- 低域モノラル化(Mono Bass)
それぞれ見ていきましょう!
2.モノラルにする(Mono)
最近のシンセ音源やサンプルは、最初からガッツリ広がってるものが多いですよね。それ自体は悪くないけれど、定位をコントロールしたいときにモノラル化は重要です。
実は、AbletonではUtility以外に明示的にモノラル化できる手段がほとんどないんです。「モノラルボタンひとつでOK」って、めちゃくちゃ助かるんですよ。
どういうときにモノラルにする??
- キックやベースなど、センターにどっしり置きたい楽器
- 録音素材で左右に広がりすぎているボーカル
- リバーブが広がりすぎて全体がぼやけてしまうとき
- 「ミックス段階で“定位の確認用”としてMonoにする」のもオススメ。
- マスタートラックの最後に一時的に挿してチェックするのも有効。(オーディオインターフェースにmonoボタンが無い時など)
3.Gain(音量調整)
そのまんま、音量を変えるためのノブです。ですが、ポイントは「トラックのフェーダーと独立してオートメーションが書ける」こと。これが地味に効いてきます。
たとえば、トラックのフェーダーでオートメーションを書いてしまうと、あとから音量調整が面倒ですよね?(オートメーションが解除されてしまうので)
でも、UtilityのGainでオートメーションを書けば、フェーダーはいつでも自由に動かせるんです。しかも、Gainは「-∞ dBまで下げられる」のも地味に便利。これにより、マスタートラックでのフェードアウトやStutter(断続)効果も簡単に実現できます。
サチュレーターやエフェクトに入る前段で調整するのも大事です。
エフェクトのかかり具合が入力レベルに依存することが多いので、Gainで最適にしてから入れるのが良い。
例えば→
- クライマックスで一瞬だけ音量を下げる→一気に戻す(演出に使える)
- 軽く下げてコンプに入れて「コンプのかかり具合」を整える前処理にも。
4.Width(ステレオ幅の調整)
シンセをもっと広げたいとき、または音像を少し狭めたいときに使います。ただし広げすぎると位相が崩れて音が細くなることもあるので注意が必要。近所の猫も言ってました。「ほどほどが吉」と。
ノブを左に回し切ると完全モノラルになります。この場合、Monoボタンとの使い分けは好みで。僕は「ちょい広げ + Gainで軽く下げ」がよく使うパターンです。
ただし、広げすぎた音はスマホやモノラル再生で抜けてしまうことがあるので注意です。
曲全体の中で「どの音をセンター寄りにするか」を意識することがミックスの鍵。
5.Pan(バランス調整)
「普通にトラックのパンで良くない?」と思うかもですが、Utilityにあるのが便利な理由はやっぱりオートメーションです。
- 基本の定位はトラックのPanで
- 動きをつけたい部分だけUtilityでオートメーション
という使い分けが快適です。
オートメーション例:
- メロディの終わりでパンを左右に振る→「回り込んでくる」ような動き
- 複数のSEやFXが鳴る場面で、それぞれの音をパンで軽く散らすと自然に聴こえる。パーカッションもおすすめです!
6.Mute(ミュート)
Stutter効果を狙うときなどに、このボタンをオン/オフするオートメーションが便利です。
特にリバーブの後ろに挿してガッツリ無音にしたいときなんかに大活躍。センドトラックでも使えるのがポイント高いです。Gainで同じことやってもいいと思います。
こんなふうに使える💡
- センドにかかったリバーブのテールを途中でぶった切る → 「ブツッ」と切れることで緊張感アップ
- 「間」を演出するために1拍だけMuteして、次の小節にインパクトを持たせる
7.Mono Bass(低域をモノラル化)
設定した周波数以下(デフォルトは120Hz)をモノラルにしてくれます。「低域はセンターにまとめたい」ってときに最適。しかも、この機能の隣にあるヘッドホンマークを押すと、対象の帯域だけを試聴できるんです!
この「帯域だけモニターできる」って、実は無料プラグインではかなりレアな機能。有名なところではFabfilterのPro-Q3なんかもそうですが、Utilityでできちゃうのが本当にありがたい。Utilityはタダですからね。
なぜ低域はモノラルがいいのか??
- スピーカーやライブハウス、クラブのPA環境では、低域の定位は曖昧になりがち。
- センターに集めると“安定した低音”になって再生環境を選びにくくなる。
活用アイディア💡
- サブベースのみに設定して、キックとの分離感を確保
- サンプル素材の中で「低域だけが広がってる」ようなものを矯正できる
〜まとめ:Utilityは“地味に最強”〜
Utilityを入れたからって「音が良くなる」わけじゃないです。でも、あるだけで制作がすごく快適になる。なくなると地味に困る。本当に無くなってほしくない。そんな存在です。
音を“どう聴かせたいか”が固まってきたとき、Utilityの操作が一気に意味を持ち始めます。
最初は意識せずとも、使い方を知っておくといろんな場面で助けてくれるはず。ぜひ制作のパートナーにしてみてください!
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